2016年1月22日金曜日

【哲恭/駄文】 きっと、寒さの所為


「寒いな…」

誰に言うともなく呟いて、ふうと吐いた息は白くなって…すぐ暗い空に溶ける。
出かける前に見た天気予報では、この冬一番の冷え込みになるといっていた。

ターゲットはまだ動かない。

マフラーにダウンに手袋に…、ポケットにはカイロ。
防寒対策はしてきたつもりだったけれど、さすがにこう長い時間外で待ち続けているとだんだん体も冷えてくる。公園の傍に見える自動販売機の「あたたか~い」なんて気軽に文字が躍るコーヒーが無性に恋しく見えた。

「買いに行けないこともない距離だけど…、下手に動くと見つかっちゃいそうだからなあ…」

真夏の、暑い日の張り込みも辛いものがあるけれど、冬はまた一段と辛い…気がする。
せめて喫茶店とかファミレスとか…普通に自分も入れる店ならこんな寒空の中で震えながらじっと待つ、なんて事も無いんだけどなあ…。

「ランジェリーショップなんて流石に入る勇気は無いぞ…」

ガックリと肩を落としながら何度めかの溜息を吐いた。
息はふわりと白く広がって……あ。


「雪だ…」



頬に当たった冷たい感覚に、思わず見上げる。
ひらりと舞い降りたそれは腕に肩に背中に当たって……儚く消える。


「……積もるかな」







「積もったら雪だるま作ろな」
「うわぁっ!?」



突然、背後から聞こえてきた声とするりと回されてきた腕の感覚に思わず飛び上がる。


「しーーー。声おっきいで恭ちゃん」
「てっ……!」


名前を叫びかけて、慌てて自分で口を塞ぐ。
どうして、お前がここに。
今日は…ご隠居と一緒に出掛けていて遠羽には居ない筈じゃなかったか。
大きい声で騒ぐ訳にも行かず、目だけで質問を投げかけると、


「恭ちゃんが寒そやからあっために来てん」


くく、と含む様に笑いながら答えになってない事をさらりと言う。


「ほい、陣中見舞」


頬に一瞬ぴたりと触れる熱さ。


「………『あたたか~い』……。」
「そ。寒かったやろ?」


哲平と出会う前は。
京香さんって手伝って貰う訳にも行かず、一人で調査も尾行もこなしていた。

だけど


「……うん」


背中に感じる温もりに、いつの間にか慣れていた事に気付く。


「『哲平ちゃんありがとー』」
「うん?」
「りぴーとあふたみー、『哲平ちゃんありがとー、だいすきー♥』」
「言うか、馬鹿!」


白い息はふたり分。
ちらほらと降る雪に混ざりながら、暗い空に大きく広がっていく。
抱き付かれたままの手を振りほどく気になれないのは、



きっと、寒さの所為。





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>おまけ


「あ!! やっと出てきた! 行くぞ哲平!」
 
「あっさりお仕事モードに戻る恭ちゃん容赦無いわあ…」

「ん?何か言ったか?」

「何でもないー。恭ちゃん好きやて言うたんー」

「そんなの知ってる。グズグズするな、見失うだろ!!」




「………ほんっま、性質悪いわ…!」




END






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ずっとブログ放置してました…。
ついったはほぼ毎日顔だしてるので、こんなに放置してるつもりは無かったんですが…おかしいなあ?
全然更新が無いにも関わらず、来て下さる方、拍手ぱちぽちして下さる方、どうも有難うございます♥ 絵じゃなくて駄文ですが…哲恭良いよね。

最近はまたちょっとMPプレイされてる方もお見かけして嬉しく思っております!
みんな遊ぼう。面白いからー!(という私はMPCプレイツイートは全然進んでない)



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